このアイデアで解決したい課題は何ですか?
災害時、トイレ環境の悪化がストレスや健康被害を招いている。独自のアンケートでは95%が「災害用トイレを使ったことがない」と回答し、市役所の方からも高齢者は凝固剤の扱いが難しいと伺った。これらの課題を踏まえ、排泄は命を守る行為であり、災害時でも“いつも通り”にできることがストレスの緩和、体調不良の減少につながると感じた。災害用トイレの凝固剤に着眼し、災害時の快適さをあきらめない選択肢を提案する。
その課題の解決のために、今までに調べたこと・実行したことを教えてください。
・家庭での防災備蓄品についてアンケートを行った。(279人が回答)
95%の人が災害用トイレを使ったことがない
飲料水の備蓄は3日分が最も多く30%に対して、災害用トイレの備蓄はしていない人が最も多く、52%に及んだ
・市役所に防災倉庫の備蓄状況についてアンケートのご協力
避難所運営に対して、「直感で使える備蓄品が安心」「手先を器用に使うことが難しい人にやさしい災害備蓄用品が欲しい」と話を伺った
このアイデアで提供する製品・サービスは何ですか?
凝固剤としての役割も持ち、手を器用に使うことが難しい人でも災害用トイレを簡単に利用できるトイレットペーパー(“凝固ペーパー”)の製造、販売。
凝固剤を練りこんだコットンをティッシュ素材で密閉した構造。おむつを応用している。肌を拭くときは凝固せず、トイレットペーパーとしての役割を果たし、使い終わった後、排泄物と一緒になるとコットン、凝固剤が水分を吸い、凝固剤としての役割をする仕組み。
その製品・サービスは、例えば「誰が」「どこで」「どのように」提供するものですか?
1年目:私たちが地域イベントや学校の文化祭などの交流する場で製品を提供し、顧客の方々へ信頼性を高める。広く認知されることを目標とし、PR販売を行う。
5年目:企業に製造を委託する。私たちが、通販サイトで全国規模での販売を開始。また、介護施設や、自治体と複数年契約を結び、製品を提供する。
10年後:通販サイトを通して、世界規模での販売。また、防災、上下水道がテーマの国際会議や、展示会で販売。
提供する製品・サービスのユーザーはどんな人・どんな組織ですか?ユーザーの具体像(年齢・性別・家庭環境・趣味・仕事等)を考えて教えてください
<実際に使うユーザー>
・ご年配の方(65歳以上、手の細かい動作を苦手とする女性)
?パーキンソン病や運動障害、手の細かい動作をするのが難しい方々
?こども(7歳以下)
<備蓄として購入するユーザー>
・地方自治体
・介護施設や老人ホーム
・災害時に支援活動を行うNPO団体
・世界の上下水道の整っていない地域への支援を行う団体。
提供する製品・サービスの一番のウリは何ですか?
・トイレットペーパーが凝固剤として役割を持つため,高齢者や障がい者、小さい子供など手を器用に使うことが難しい人でも、災害時のトイレで凝固剤を簡単に使うことができる。普段のトイレと近い感覚で使えるため、避難生活のストレス軽減につながる。
・備蓄するのはビニール袋と、凝固ペーパーだけのため簡単に備蓄することができる。
・ 凝固剤の袋が不要なため、実質的に安く備えることができる。ごみの削減ができる。
提供する製品やサービスについて、すでに存在する類似製品やサービスはありますか?
あるならばそれらと比較して優れている点(独自の価値)を教えてください。
類似商品として、非常用トイレットペーパー、非常用トイレの凝固剤、携帯用トイレ(主に車の渋滞時などを想定した製品)がある。
これらの商品と比較して凝固ペーパーは、凝固剤が不要、凝固剤を入れる手間をなくし凝固剤を使う意識を軽減できる、トイレ一回当たりの価格が安く、コンパクトで災害備蓄向きという観点で優れている。凝固剤の代替として利用可能なペット用トイレシートも、あえて入れる手間を軽減できない。
プロトタイプを第三者に見てもらい、出た意見を踏まえて実用性を高めるためにはどのような改善が必要か、もしくは既に改善した場合はどのように改善したのか、教えてください。
肌をこすると表面がボロボロになる。?密閉の仕方を変更し、表面が破れにくくなった
ふちの密閉が弱い?圧着治具の利用し、強度を高めた
包装はどうするのか?ティッシュ箱と同じ置くだけでよい構造を考えている
長期の備蓄による品質の変化?様々な環境での長期にわたる検証が必要
使用後の匂いが気になる。?完璧な消臭は現時点では、技術的に難しいため完全密閉に近いカートリッジを販売する
顧客となるユーザーと直接対話し、プロトタイプを改良した・もしくは改良を予定している場合はその内容を教えてください。
4歳女児:肌触りが気になる?厚さをキッチンペーパーに対してティッシュの比率を高め、肌触りを改良した
70代女性:厚手で使いにくい?コットンを綿にした元の構造を、繊維方向をそろえた積層構造に変更し、ウェットティッシュほどの厚さまで薄くした
60代男性:本来の用途と異なる使い方(応急処置など)で、凝固剤があふれてこないか、体への悪影響はないか?不織布を利用し、耐久性を高める
この製品・サービスの市場動向や市場規模について今までに調べたことがあれば教えてください。また、その動向を踏まえ、ビジネスモデルを検討したことがあれば、その内容を教えてください。
防災備蓄だけでなく、水洗トイレの普及という観点で、世界、日本で上水道の整備状況から検討した。
TAM:上下水道未整備地域+高齢者等30%=11億人、市場規模8,800億円。
SAM:個人30万人、自治体300施設、企業10万回で15.2億円。
SOM:個人3万人、自治体3万人、企業5千回で5,200万円。5年後からは企業との契約を拡大し、BtoBを中心に市場展開を図ることで収入を安定させたい。
全体を振り返って、このアイデアを思いついた背景と課題解決に向けた思いを教えてください
背景:トイレ環境の悪化が災害時の体調不良の原因となっていることをニュースで知ったため。
目的:凝固剤の役割をトイレットペーパーが担うことで、災害用トイレの使い方を簡略化し、手が不自由な方でも簡単に利用できるようにする。
排泄は命を守る行為であり、災害時でも“いつも通り”にできることがストレスの緩和、体調不良の減少につながると考える。災害時の快適さをあきらめない選択肢を提案する。