このアイデアで解決したい課題は何ですか?
日本は先進国で最も睡眠時間が短く、睡眠不足による経済的損失は約15兆円に上ります。睡眠の質向上には枕の高さが重要ですが、従来の枕は固定長のため、睡眠中に変化する寝姿勢、寝る位置、頭の荷重に柔軟に対応できません。この結果、頭部が適切に支えられず、睡眠の質が低下しています。リアルタイムで変化する睡眠状態に応じて枕の高さを最適化することで、少しでも睡眠の質を向上させたい考えております。
その課題の解決のために、今までに調べたこと・実行したことを教えてください。
睡眠の質と枕の関係について論文調査を行い、枕の高さが重要なパラメータであることを確認しました。既存の枕製品を調査した結果、固定長が主流で動的調整機能を持つ製品はほとんど存在しないことが判明しました。そこで、圧力センサーで寝姿勢・位置・荷重を検知し、AIが各空気袋内において、最適な空気圧量を推論するシステムを設計しました。最適な空気圧量を推論することで、最終的に適切な枕の高さ調整を実現しております。
このアイデアで提供する製品・サービスは何ですか?
世界初のAI枕・FAIPを提供します。四隅に配置した圧力センサーで寝姿勢、位置、頭の荷重をリアルタイムに検知し、AIが最適な枕の高さを推論します。6つの空気袋と小型ポンプ、電磁弁を用いて、推論結果に基づき自動的に枕の高さを調整します。就寝中の姿勢変化に応じて常に最適な高さを維持することで、頭部を適切に支え、睡眠の質を向上させます。従来の枕では実現できなかった、個人適応型の睡眠環境を提供します。
その製品・サービスは、例えば「誰が」「どこで」「どのように」提供するものですか?
私たちが、一般家庭、旅館・ホテル、医療機関に提供します。一般家庭では個人の睡眠の質向上、旅館・ホテルでは宿泊客それぞれに最適な睡眠環境を提供します。医療機関では、睡眠時無呼吸症候群の患者様や長期療養中の方々に対し、気道確保や褥瘡予防を目指します。ECサイト、寝具専門店、地道な営業を通じて提供・販売を行っていきます。
提供する製品・サービスのユーザーはどんな人・どんな組織ですか?ユーザーの具体像(年齢・性別・家庭環境・趣味・仕事等)を考えて教えてください
ユーザーは大きく3層に分かれます。1つ目は、30?50代の働き盛りで睡眠の質に悩むビジネスパーソンや、健康意識の高いシニア層です。2つ目は、旅館・ホテルの経営者や宿泊施設の支配人で、顧客満足度向上を目指す方々です。3つ目は、病院の医師や看護師、介護施設の管理者で、睡眠時無呼吸症候群の患者様や長期療養中の方々のケアの質向上を求めています。
提供する製品・サービスの一番のウリは何ですか?
一番のウリは、AIによるリアルタイム自動調整機能です。従来の枕は固定長で万人向けの設計ですが、FAIPは圧力センサーで個々のユーザーの寝姿勢・位置・頭の荷重を常時検知し、AIが最適な高さを推論して自動調整します。睡眠中の姿勢変化にも瞬時に対応するため、常に頭部を適切に支え続けます。この「個人適応型の動的調整」により、個人に寄り添い、最適化されたAI枕を提供することが可能であると考えております。
提供する製品やサービスについて、すでに存在する類似製品やサービスはありますか?
あるならばそれらと比較して優れている点(独自の価値)を教えてください。
音声認識でイビキを検知して昇降する枕や、加速度センサで定位置まで昇降する枕は既に存在します。しかしこれらは単純な昇降機能のみで、個人の睡眠パターンには対応していません。FAIPは圧力センサーで寝姿勢・位置・荷重をリアルタイムに検知し、AIが最適な高さを推論・調整します。単なる昇降ではなく、AIによる学習と動的最適化により、睡眠の質を科学するデバイスへと進化させた点が独自の価値です。
プロトタイプを第三者に見てもらい、出た意見を踏まえて実用性を高めるためにはどのような改善が必要か、もしくは既に改善した場合はどのように改善したのか、教えてください。
プロトタイプを教員や友人に試用してもらい、複数の改善点が判明しました。第一に、電源ケーブルの存在による不快感への対応として、シンプルなコードに対応する予定です。第二に、充電中・動作中を示すLEDの光が睡眠を妨げるとの指摘を受け、LEDの消灯機能や明るさ調整機能の追加を計画しています。第三に、ポンプの作動音や振動音について、より静音性の高い小型ポンプへの変更と防音・防振構造の強化を進めています。
顧客となるユーザーと直接対話し、プロトタイプを改良した・もしくは改良を予定している場合はその内容を教えてください。
プロトタイプを教員や友人に試用してもらい、複数の改善点が判明しました。第一に、電源ケーブルの存在による不快感への対応として、シンプルなコードに対応する予定です。第二に、充電中・動作中を示すLEDの光が睡眠を妨げるとの指摘を受け、LEDの消灯機能や明るさ調整機能の追加を計画しています。第三に、ポンプの作動音や振動音について、より静音性の高い小型ポンプへの変更と防音・防振構造の強化を進めています。
この製品・サービスの核となる技術について、特許等を取得/出願している場合は詳細(発明者・特許番号/特許公開番号等)を教えてください。
多くのコンテストに本FAIPを提案しているため、特許出願を行う予定はございません。現在、未踏アドバンスト事業に応募しており、FAIPの技術をベースに新規性を追加したXPillowの開発と特許出願を目指しています。
この製品・サービスの市場動向や市場規模について今までに調べたことがあれば教えてください。また、その動向を踏まえ、ビジネスモデルを検討したことがあれば、その内容を教えてください。
世界の睡眠テック市場は2024年に約3.7兆円規模で、日本国内は潜在的に3兆円規模、矢野経済研究所によると2027年までに160億円に達すると予測されています。現在の市場は、アプリやウェアラブルデバイスによる睡眠の可視化が主流ですが、睡眠の質を物理的に改善するソリューションは少ない状況です。FAIPは「可視化の次」である、これまでにない睡眠環境の最適化という新領域を開拓します。
起業までの具体的なスケジュールをステップごとに時系列で記述してください。
(例:プロトタイプ開発、マーケティング準備、資金調達、法人設立など)
2025年10月?2026年3月:Unityシミュレーション研究とパラメータ最適化、特許出願準備。2026年4月?9月:プロトタイプ改良、静音性・快適性向上、テスト実施。2026年10月?2027年3月:富裕層向けマーケティング準備、高級ホテル提携交渉、資金調達。2027年4月?9月:法人設立、量産体制、一般販売開始。2027年10月以降:医療機器認証取得準備、B2B販売拡大、ライセンス展開検討。
起業後の事業展開について、目標・戦略・成長イメージを具体的に記述してください。
(例:売上目標、顧客獲得計画、サービス拡張、海外展開の可能性など)
起業後1年目は富裕層と高級ホテルをターゲットに100台販売、売上500万円を目指します。2年目は医療機関への展開と一般消費者向けマーケティング強化で500台販売、売上2500万円を目標とします。3年目以降は量産体制確立により年間2000台以上の販売を実現し、大手寝具メーカーへの技術ライセンス供与を開始します。また、睡眠不足が社会問題となっている海外展開も視野に入れ、事業拡大を目指します。
このビジネスでは「なぜ」利益がでると考えていますか?収益とコストの観点から想定する収益モデルごとに教えてください。
直接提供モデルとライセンスモデルを組み合わせます。ピッチイベントで投資家などの富裕層と接する中で、高額なコストがかかるものの、健康志向の高い富裕層をターゲットにすれば、確実に利益を出せると確信しました。AIによる個人適応機能という差別化により、既存高級枕の1?3万円を上回る価格でも購入意欲があります。高級ホテルや医療機関へのB2B販売を通して、安定的な収益構造を構築します。
このビジネスプランで起業する場合の課題は何だと考えますか?
主な課題は3つです。第一に、AIシステムや精密センサー、空気圧制御機構の統合には多額の初期投資が必要で、量産化までの資金調達が課題です。第二に、医療機関向け販売には承認が必要で、時間とコストがかかります。第三に、新技術のため安全性や効果を実証するデータ収集と市場への認知拡大が必要です。また、静音性や快適性のさらなる改善も継続的な課題として認識しています。これらの課題を解決し、事業化を目指します。
全体を振り返って、このアイデアを思いついた背景と課題解決に向けた思いを教えてください
OECDの調査によると、日本は先進国で最も睡眠時間が短く、睡眠不足による経済損失は約15兆円に上ります。人生の3分の1を占める睡眠時間を、AI技術を用いて、より質の高いものにすることで、個人の健康だけでなく社会全体を変革できると考えました。限られた睡眠時間の質を最大限向上させ、誰もが健康で生産的な生活を送れる社会を実現したいと考えております。