このアイデアで解決したい課題は何ですか?
高専1?3年生を中心とする理工系学生は、教科書の説明が省略的で理解が難しい一方、インターネット上には膨大な情報があふれ、どの教材を選ぶべきか判断できないという課題を抱えています。その結果、基礎科目でのつまずきが早期離脱を招き、将来の技術者不足にもつながっています。EDO×PROはこの理解しにくい、選びにくい問題を解消し、迷わず・続けて学べる形に変え、誰でも学びの一歩を踏み出せる環境を実現します。
その課題の解決のために、今までに調べたこと・実行したことを教えてください。
学習アプリ市場を調査した結果、主要5教科や資格試験向けは多い一方、理工系専門科目を扱うスマホ教材はほとんど存在しません。特に電気回路は高専1?3年で最初につまずく学生が多く、基礎理解の効果検証に適していると判断しました。そのためUnityで試作版を開発し、高専生約10名に試用してもらいました。操作性や数式表示に対する改善要望を受け、UIの修正とLaTeX対応を実施済みです。
このアイデアで提供する製品・サービスは何ですか?
本サービス「EDO×PRO」は、高専1?3年生が通学や休憩時間などのスキマ時間で専門科目を学べるアウトプット型学習アプリです。問題演習と即時フィードバック、誤答解析を組み合わせ、曖昧な知識を確実に定着させます。数式はLaTeXで読みやすく表示でき、今後は学習の継続を促すアバター機能も実装予定です。収益は広告モデルとし、学生が無料で利用できる手軽な学習環境を提供します。
その製品・サービスは、例えば「誰が」「どこで」「どのように」提供するものですか?
本サービスは、小山高専の学生を代表者とし、和歌山高専の学生(プログラミング担当)を中心としたチームで開発しています。開発は、学生チームの代表者の所属校教員のみならず、和歌山高専 電気情報工学科教授の助言を受けながら進めています。両校の教員が監修を行い、教育的妥当性を担保します。アプリはAndroidおよびWeb環境で提供し、無料提供を基本として広告収入による安定運営を図ります。
提供する製品・サービスのユーザーはどんな人・どんな組織ですか?ユーザーの具体像(年齢・性別・家庭環境・趣味・仕事等)を考えて教えてください
主なユーザーは高専1?3年生で、基礎専門科目の理解に課題を抱える層です。初期段階でつまずくと、その後の専門科目への苦手意識が学習意欲の低下や離脱につながるため、この層を最重要ターゲットとしています。1単元を数分で復習できる短時間学習設計により、通学中などの隙間時間で達成感を得られる体験を提供します。教員監修の信頼性と学習データ分析により、継続学習を支援します。
提供する製品・サービスの一番のウリは何ですか?
本アプリの強みは、理工系専門科目に特化した「アウトプット主導型学習設計」にあります。理解した内容をすぐに問題で試し、誤答を解析して次の学習に反映させる循環型構成です。教育心理学で知られる“自己効力感の向上”理論(Bandura, 1997)に基づき、短時間でも達成感を得られる設計としました。さらにDuolingoでも有効性が示されたランキング・アバター機能を採用し、継続学習を促進します。
提供する製品やサービスについて、すでに存在する類似製品やサービスはありますか?
あるならばそれらと比較して優れている点(独自の価値)を教えてください。
電気回路の解説サービスはWeb上にも存在しますが、多くは閲覧や動画視聴に留まり、受け身的な理解にとどまります。EDO×PROは、問題演習→即時フィードバック→再挑戦の学習サイクルをスマホ上で完結させ、短時間でも理解を積み重ねられる構成です。片手で操作できる手軽さと、通知・進捗可視化機能により、学習を日常習慣として定着させます。能動学習を支援する点で、他のWeb型サービスと明確に一線を画します。
プロトタイプを第三者に見てもらい、出た意見を踏まえて実用性を高めるためにはどのような改善が必要か、もしくは既に改善した場合はどのように改善したのか、教えてください。
試用した高専生からは「これなら授業の復習に使えそう」「前より整理しやすい」との声があり、理解が進む予兆が見られました。これを踏まえ、LaTeX表示や操作エフェクトを導入し、視認性と操作性を改善しました。今後は学習効果の定量的検証を進め、達成度を可視化するアバター機能を追加して、苦手意識を克服しやすい設計へ発展させます。
顧客となるユーザーと直接対話し、プロトタイプを改良した・もしくは改良を予定している場合はその内容を教えてください。
友人の高専生を対象に、Googleフォームによる試用アンケートを実施しました。操作の分かりづらさや数式の見にくさなど、具体的な改善点が挙げられたため、UI調整や表示形式の最適化を進めました。また、「学習進捗を見える形にしたい」という意見を受け、アバターや進捗表示機能の開発を検討しています。今後は対象を広げ、体系的な利用者調査を行う予定です。
この製品・サービスの市場動向や市場規模について今までに調べたことがあれば教えてください。また、その動向を踏まえ、ビジネスモデルを検討したことがあれば、その内容を教えてください。
EdTech市場は年平均約20%で拡大し、2024年に147億ドル、2033年には767億ドルに達する見込みです(Global Market Insights調べ)。EDO×PROは理工系専門科目に特化し、高専生に加え大学・工業高校・専門学校生や社会人学習者を対象とします。対象拡大により潜在ユーザーは10万人規模に達し、広告収益の安定化と無料運営の両立を実現します。
起業までの具体的なスケジュールをステップごとに時系列で記述してください。
(例:プロトタイプ開発、マーケティング準備、資金調達、法人設立など)
プロトタイプ(電気回路分野)は既に完成し、2025年度中に操作性とLaTeX対応を完了予定です。2026年度にはアバター・ランキングなど継続学習機能を追加し、電磁気学・応用数学・物理分野へ拡張します。2027年度には正式リリースを行い、基本無料+広告収入を軸に、追加機能をサブスクで提供します。初期コストを抑えつつ利用者数に比例して収益が拡大する構造とし、低リスクで持続可能な運営モデルを実現します。
起業後の事業展開について、目標・戦略・成長イメージを具体的に記述してください。
(例:売上目標、顧客獲得計画、サービス拡張、海外展開の可能性など)
初期は広告収入を基盤に運営し、無料で学べる環境の整備を優先します。短期的には開発・運営コストが先行し赤字を想定していますが、利用者拡大により広告単価と掲載企業数の増加が見込まれます。将来的には企業スポンサーやサブスク機能を導入し、継続利用を収益化へつなげます。無料で始め、成長とともに利益構造を確立する「段階的拡張モデル」で、長期的な安定収益を目指します。
このビジネスでは「なぜ」利益がでると考えていますか?収益とコストの観点から想定する収益モデルごとに教えてください。
本事業は学生チーム2名体制で開発・運営を行い、外注費を抑えた低コスト運営を実現します。収益は広告収入を主軸とし、初期は高専生約1万人、将来的には大学・工業高校・社会人学習者を含む層へ拡張します。利用者1人あたり月20円の広告収益を想定し、運営費を上回る黒字化を目指します。開発体制の強みを生かしてリスクを最小化し、スポンサー広告導入による収益拡大へ段階的に移行します。
このビジネスプランで起業する場合の課題は何だと考えますか?
初期段階の最大の課題は、限定的なユーザー層に依存した収益構造です。これを克服するため、対象を大学・工業高校・社会人学習者まで広げ、利用者基盤を段階的に拡大します。また、広告収入への過度な依存を避けるため、スポンサー企業との連携やサブスク制への移行も検討します。教育的信頼性を確保するため、教員監修体制を強化し、学習成果を数値化して示すことで、ブランド価値と継続利用の両立を目指します。
全体を振り返って、このアイデアを思いついた背景と課題解決に向けた思いを教えてください
私自身、高専で専門科目につまずき、理解できない悔しさを経験しました。だからこそ、EDO×PROでは「誰もが専門をあきらめない社会」を実現したいと考えています。学びを“苦痛”から“達成”へ変えることで、理系離れを防ぎ、次世代の理工系学生が自信をもって挑戦できる環境をつくります。高専から生まれたこの仕組みが、全国の学びの壁を越え、日本のものづくりを支える礎になると信じています。