プロトタイプ部門

藍より出し青を食む

チーム名
藍より出し青を食む
高専名
高知高専
このプランのビジネスプラン概要
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このアイデアで解決したい課題は何ですか?

解決したい課題は藍の需要と供給の不安定さです。
藍は和服の減少で利用方法が減少したため、供給過多となっています。高知県で戦前水田で栽培された藍が現在は、ほぼ生産されず、その上過疎高齢化で休耕田が増えています。そこで食品という新たな活用法を提供することで、藍の需要を増やし休耕田減少という社会的な意義も同時に追求したいです。ただし従来の藍染の方法は不特定多数の菌による発酵のため食品には不向きでした。

その課題の解決のために、今までに調べたこと・実行したことを教えてください。

実際に高知県の休耕田を借り藍を肥料、除草剤を与えず、雑草も抜かず栽培した結果、無事に育てることが出来、他の雑草に淘汰されませんでした。
また含インドール配糖体植物の植物体またはその抽出物とを攪拌混合し、色素を発現させる工程を含む製造方法を考えました。
これは細菌による発酵工程を一切行わず次亜塩素酸ナトリウムのみを用いて従来では約100日かかるところをわずか5分で青く発現させるのに成功しました。

このアイデアで提供する製品・サービスは何ですか?

本アイデアは青い色の粉末を個人又は会社に食品及び原材料として提供するものであり、暗い青や明るい青、水溶性や不溶性などの商品展開を想定しています。
この青い粉末は食品として販売できるのかに関しては保健所に相談し「食品添加物には使用基準(使用できる食品や使用量の最大限度、使用制限)が定められています。それを遵守した上で植物粉末を作り、食品を製造するのであれば販売は可能」と前向きな見解を得ています。

その製品・サービスは、例えば「誰が」「どこで」「どのように」提供するものですか?

私が中心となり、高知県内の農家さんや地元の方と連携して藍を栽培し 、独自の短時間精製技術で抽出した天然の青色色素を製造します。
加工は高知県内の食品加工施設で行い、完成した製品は県内外の食品を初めとする製造業へ販売する。もしくは土産物店やオンラインショップなどを通じて販売します。
また、藍の栽培から商品化までを一貫して地域内で行うことで、地産地消と地域活性化を 両立した提供体制を構築します。

提供する製品・サービスのユーザーはどんな人・どんな組織ですか?ユーザーの具体像(年齢・性別・家庭環境・趣味・仕事等)を考えて教えてください

この製品のユーザーは、自然由来の色や本物の素材に価値を感じる人々です。人工着色料ではなく、植物が生み出す自然な青を楽しみたい20?50代の男女を想定しています。
特に、子どもに安全で本物の体験を届けたい家庭層や、日本の伝統文化や自然の恵みに触れたい触れさせたい層を考えています。
また、自然素材や地域文化を大切にする食品メーカーや製造業など、環境配慮型の商品開発を志向する企業を想定しています。

提供する製品・サービスの一番のウリは何ですか?

この製品の一番のウリは、自然由来でありながら高温や化学変化にも強く艶やかな青を保てる点です。
従来の青色(クチナシやバタフライピー)は酸性溶液にふれるなど化学変化に弱く変色しますが、私の藍色素はビタミンC溶液でも変質せず、200℃の加熱にも耐え、食品加工に安定して使用可能だと考えます。
さらに、高知の藍染文化を現代の食品に生かすことで、「自然・伝統・革新」を融合した唯一無二の価値を提供します。

提供する製品やサービスについて、すでに存在する類似製品やサービスはありますか?
あるならばそれらと比較して優れている点(独自の価値)を教えてください。

類似製品として藍の名を冠したお菓子などがあります。
しかし私が調べた限り全て、クチナシなど別の青色色素を使用しています。藍の青色は不特定多数の細菌を用いた発酵が必要で食品には不向きなためです。
既存製品は見た目の青さを再現する代替色素に頼っており、藍本来の色や文化的価値を活かしていません。本アイデアは発酵を行わず薬品で色素を発現させ、名実ともに「藍の青」を楽しめる点で既存製品と一線を画します。

プロトタイプを第三者に見てもらい、出た意見を踏まえて実用性を高めるためにはどのような改善が必要か、もしくは既に改善した場合はどのように改善したのか、教えてください。

「実験室での技術試験の段階だが、起業や製造を見据えるなら、地域の方とを巻き込んで藍栽培を実施した方がよい」という助言を受け、教員の紹介で藍の復活に関心を持つ農家の方と協力して、藍の試験栽培を行い、収穫まで実現することができました。今後はより地域との連携を広げ、栽培や加工工程の安定化を図るとともに、体験プログラムや教材の提供、地域資源を活かしたブランド構築を進めたいと考えています。

顧客となるユーザーと直接対話し、プロトタイプを改良した・もしくは改良を予定している場合はその内容を教えてください。

野菜の端材を用いた食べられる粘土を手がける企業との対話で、青色食品への一定のニーズを確認しました。耐熱性や衛生基準を考慮し、藍の色素発現方法を改良し、オーブン焼成や加熱殺菌にも耐えられるよう調整中です。実際200度までの熱と長時間単純水加熱に耐えられるように精製することに成功し、衛生面も細菌培養で確認予定です。味や見た目のインパクトを重視し、バタフライピーと同等コストでの製造を目指しています。

この製品・サービスの核となる技術について、特許等を取得/出願している場合は詳細(発明者・特許番号/特許公開番号等)を教えてください。

発明者は堀口直宏(高知高専2年)法定代理人は私の親です。
発明の名称は「含インドール配糖体からの色素生成および食品利用可能な薬品による色の発現方法」で、発酵を用いず、素早く発色に成功し、従来脱色に使われていた薬品を発色に応用したため進歩性があると考えています。
また、2025年8月28日出願済(受付番号22501610006、特願2025-141986)で早期審査の事情説明書も提出済です。

この製品・サービスの市場動向や市場規模について今までに調べたことがあれば教えてください。また、その動向を踏まえ、ビジネスモデルを検討したことがあれば、その内容を教えてください。

日本の食品着色料市場は成長中で、天然着色料への関心も高まっています。バタフライピー製品はSNSやメディアで注目されており、本アイデアは市場のこうした需要を踏まえ、SNS活用による認知向上や需要喚起を検討しています。また、伝統文化の融合として発信し、艶やかな青色を短時間で発現させ、既存製品と差別化を図ることで、青色食品市場で競争力のある製品を提供し、持続可能なビジネスモデルの構築を目指します。

全体を振り返って、このアイデアを思いついた背景と課題解決に向けた思いを教えてください

諸君、私は藍が好きだ。
諸君、私は藍が大好きだ。
香りが好きだ。
葉のざわめきが好きだ。
立ち姿が好きだ。
土の匂いを吸った茎の強さが好きだ。
色が好きだ。
インドで、フランスで、ドイツで、そして日本で、
人々の暮らしと歴史に寄り添ってきた藍が好きだ。
そんな藍が今苦しんでいるではないか
ならばどうするべきかなにをするべきか
そう考えるよりも前に私の手はひとりでに動いていた。