プロトタイプ部門

北の甘美な宝石が、世界を引き付ける ~ハスカップ×香料ビジネスの可能性~

チーム名
愛の契り
高専名
苫小牧高専
このプランのビジネスプラン概要
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このアイデアで解決したい課題は何ですか?

ハスカップは主に苫小牧市や、厚真町などで育てられる果物である。しかし、生のハスカップは傷みやすく流通が難しく、同様の理由から廃棄されてしまうハスカップがあることが課題である。また、ハスカップの知名度は低い。そこで、私たちは廃棄されるハスカップから香料を作成、化粧品に応用することでロス果実を減らし、さらに、ハスカップの魅力をジャムやケーキなど食品とは別の形で全国に広めることを目指している。

その課題の解決のために、今までに調べたこと・実行したことを教えてください。

果実の香料の抽出方法をインターネットや本で調べた結果、水蒸気蒸留法を採用した。ハスカップをミキサーにかけ液状にしたものを試料とし、水蒸気蒸留法を用いて、香り成分を抽出した。これをロータリーエバポレーターにかけ、さらに濃縮を行い、得たものを香料とした。その後、香料を加えたリップクリームとハンドクリームを作成した。同時に農家への取材を行い、現場での生産状況や課題を直接聞くことで、実践的な理解を深めた。

このアイデアで提供する製品・サービスは何ですか?

ハスカップの香料を活用した化粧品を提供する。小学生向けイベントを開催し、子供たちにリップクリームやハンドクリーム作りを体験してもらうことで、科学に親しみを持ち、ものづくりの楽しさを感じてもらうことを目的としている。また、理系の分野で女性が活躍している姿を伝え、さらに出前授業を通じて全国の小中学生にも科学の魅力を発信する。地域の特産品と科学を結びつけ、未来の人材育成にも貢献する取り組みである。

その製品・サービスは、例えば「誰が」「どこで」「どのように」提供するものですか?

現在は試作段階だが、将来的には北海道の化粧品会社と、地元のハスカップ農家と協力して商品を開発し、アンテナショップや北海道の空港内お土産ショップで全国の人々に提供する。単なる販売に留まらず、小さな子どもとその親を主なターゲットに、ハスカップ香料を用いた化粧品づくりの体験型イベントも実施。親子で楽しみながら商品に触れることで、商品の魅力や背景にある地域資源への理解を深めてもらうことを目指す。

提供する製品・サービスのユーザーはどんな人・どんな組織ですか?ユーザーの具体像(年齢・性別・家庭環境・趣味・仕事等)を考えて教えてください

ハスカップを知らない全国の人々や、北海道を訪れる国内外の観光客を主なターゲットとする。旅行の思い出やお土産を求める層に手に取ってもらいたい。加えて、親子で楽しめる体験型イベントを開催し、子どもと一緒に楽しみながら学べる機会を求める家庭にもアプローチする。また、地元の人々には店舗やイベントでハスカップを身近に感じてもらい魅力を再認識してもらう。こうして地域と全国、海外の多様なユーザーを想定している。

提供する製品・サービスの一番のウリは何ですか?

ハスカップは通常ジャムやお菓子など食品として加工されるが、食品以外の活用はほとんどない。そこで、廃棄予定のハスカップから香料を抽出し、化粧品に応用することで新しい市場を創出する。捨てられるはずの果実に価値を与え、地元農家の経済的支援と地域活性化に貢献する点が魅力である。自然の恵みを無駄なく活かし持続可能な資源活用と地域との共生を実現する、これこそが私たちの製品、サービスの最大のウリである。

提供する製品やサービスについて、すでに存在する類似製品やサービスはありますか?
あるならばそれらと比較して優れている点(独自の価値)を教えてください。

香り付きの化粧品は多く存在し、地域の果実を使った商品も数多く展開されている。しかし私たちのアイデアは、通常は廃棄されるハスカップに注目し、食品以外ではほとんど使われてこなかったこの果実から香料を抽出し、化粧品として活用する。また、ハスカップ香料を用いた子供向けの体験イベントを通じて、地域資源を楽しく学べる仕組みも提供する。環境への配慮、地域貢献、体験価値を一つにした点が、他にはない強みである。

プロトタイプを第三者に見てもらい、出た意見を踏まえて実用性を高めるためにはどのような改善が必要か、もしくは既に改善した場合はどのように改善したのか、教えてください。

実際に作成したリップクリーム、ハンドクリームの香りに対し、「草のような香りがやや目立つ」との意見が見受けられた。よりマイルドな調整の余地があるとして、抽出方法や溶媒の材料、使用するハスカップの品種を再検討することとした。また、容器がシンプルすぎるため、思わず手に取りたくなるようなデザインを目指してブラッシュアップを行いたい。そして、使用感がやや油っぽく肌なじみが悪いので、調合も改良を加えたい。

全体を振り返って、このアイデアを思いついた背景と課題解決に向けた思いを教えてください

私たちは、化粧品が好きでそれに関わる研究がしたいと考えた。学生実験で香料を合成した経験から、果物から香りを作りたいという思いが強まった。そこで、ハスカップのロス果実に注目した。ロス果実に新たな価値を見出し、香料として化粧品に活用することで、ロスの削減や農家の支援に繋げたいと考えた。ハスカップを通して、地域の可能性を広げ、北海道の魅力を多くの人に届けたいという思いをこのアイデアに込めている。