プロトタイプ部門

投資って意外と面白い!楽しく学ぶ金融教育ゲーム!「カブノコ 」

チーム名
Gteam
高専名
東京高専
このプランのビジネスプラン概要
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このアイデアで解決したい課題は何ですか?

我が国の公的年金制度は老後生活を送るには不十分で、金融庁は最大3000万円の貯蓄が必要だと試算している。一方で、政府は新NISA制度の開始や、公立高校で金融教育を行うなど機運を高める取り組みを行っているが、Z世代においては、将来の経済に対する不安を持つ人が多く存在する。この要因の一つが資産形成に関しての知識不足である。そこで、「若者に対し、貯蓄や投資に対する正しい理解を提供すること」を課題とした。

その課題の解決のために、今までに調べたこと・実行したことを教えてください。

第5回高専インカレチャレンジにて、日興証券の社員等からのアドバイスを得ながら解決に向けて取り組んだ。その中で、Z世代の投資に対する意識を調査した結果、約半分の人が興味を持っておらず、知識を十分に持っていないことが推測された。そこで、当該世代に訴求する手段としてゲームを用いることとした。また、経済の仕組みやライフプランなどについて自ら学び、その内容をアイデアに取り入れた。

このアイデアで提供する製品・サービスは何ですか?

すごろくをベースとした金融教育ゲームを提供する。プレイヤーはゲーム開始前にゲーム内資金を得る。次にサイコロを振り、止まったマスでは、就職・結婚・事故といったライフイベントを経験するほか、ターン毎に生活費として資金が減少する。その後、AIの生成したニュースで変動する市場に対し、貯金はもちろんインデックス投資や個別株、保険での資産運用を行う。最終的に金融資産・知識・幸福度の複数要素で勝敗を決定する。

その製品・サービスは、例えば「誰が」「どこで」「どのように」提供するものですか?

本サービスの利用シーンは主に3つある。
最初に、高校生などの学生が、学校の授業で投資を学ぶために利用することである。
次に、中学生から20代までのZ世代が、場所は問わず楽しむために利用することである。
最後に、家庭内で気軽に投資の話をする機会を設けることを目的に、休日などに家族でプレイすることである。これら利用シーンに適応するため、我々はスマホ及びパソコンにおけるアプリゲームとしてこれを提供する。

提供する製品・サービスのユーザーはどんな人・どんな組織ですか?ユーザーの具体像(年齢・性別・家庭環境・趣味・仕事等)を考えて教えてください

シード期における主なユーザーは教育機関への導入を考えていることから、高校生、大学生、専門学校生である。具体像としては、男女問わずデジタルネイティブな生徒や学生が中心である。教育機関での採用を契機に、その家族までユーザー層を広げる。特に、親子で投資を含めた資産形成の話をあまりしない家族が中心である。アーリー期までにはシード期のターゲットに社会人を加え、Z世代全体をユーザーとすることを想定している。

提供する製品・サービスの一番のウリは何ですか?

本ゲームでは、AIの生成するニュースによってバブル景気、感染症の流行、不況などが発生し、それに応じて株価が変動する。その世界で、単に金融資産を築くだけではなく、車や家、教育など、人生の選択を通じたお金の使い方や、事故や病気などの不測の事態への備え、知識を試すクイズによって勝敗が決まる点が最大のウリである。これにより、将来的なゲーム内でのライフプランをイメージできる人が勝利できる仕組みとなっている。

提供する製品やサービスについて、すでに存在する類似製品やサービスはありますか?
あるならばそれらと比較して優れている点(独自の価値)を教えてください。

J-FLECが開発した「株式学習ゲーム」が競合として存在している。類似点は金融教育を目的としている点、株式購入の体験ができる点が挙げられる。同作は実在する銘柄の値動きに基づいて投資を行う一方で、本アイデアではそれらをすべてAIで生成する為、様々なニュースや株の値動きを体験できるという点で優位性を確保している。また、本アイデアでは投資以外の要素も含んでいるため、エンタメ性も高いものと認識している。

プロトタイプを第三者に見てもらい、出た意見を踏まえて実用性を高めるためにはどのような改善が必要か、もしくは既に改善した場合はどのように改善したのか、教えてください。

「投資は将来への人生設計があったうえで実施するものだが、このアイデアでは投資、特に株式投資に傾倒しているように感じる。そのため、金融教育を目的として学校などに導入するのは厳しい」との意見をいただいた。そこで、我々は、株式投資をメインとしたアイデアからライフプラインによるお金の使い方を中心としたものへと軌道修正を行い、それに伴い課題を再設定したほか、新たにライフプランについての学習を行った。

顧客となるユーザーと直接対話し、プロトタイプを改良した・もしくは改良を予定している場合はその内容を教えてください。

「投資判断が難しすぎる」「株はゲーム序盤の資産残高で順位がほぼ確定してしまいそう」との意見をいただいた。そこで、AIが今後の投資に対してのアドバイスをするマスを作成することで、投資判断のサポートを行うほか、出題されるクイズやAIで生成するニュースに制限をかけることで難易度を調整できるようにする予定だ。ゲームバランスについては、資産よりも幸福度に比重を置くことで対応していく予定である。

この製品・サービスの市場動向や市場規模について今までに調べたことがあれば教えてください。また、その動向を踏まえ、ビジネスモデルを検討したことがあれば、その内容を教えてください。

SAMとして金融教育市場を考えた。その市場規模は2024年に1065億円に到達している。これは今後も拡大する見込みであり、事業としての成長可能性は十分にあるものと推定している。また、イノベーター理論に基づき、SAMの2.5%にあたる26億円をSOMとして捉えたが、これは創業時の売上としては十分であり、教育機関に対しての営業を適切に行い、知名度を高めることで事業を継続できるものと考えている。

全体を振り返って、このアイデアを思いついた背景と課題解決に向けた思いを教えてください

本アイデアでは、「貯蓄や投資に対する正しい理解を提供すること」という課題を作成し、解決に注力した。その中で、皆が知るすごろくを基軸としたことによる親しみやすさとAIを用いたゲーム内における経済のリアリティを追求した。特に、投資だけでは充実した人生は手に入らないという考えから、お金の使い方を学ぶ点を最も重視している。このゲームをプレイすることが資産形成や生き方を考えることに繋がってほしいと思う。