このアイデアで解決したい課題は何ですか?
? 「外出時に使用後のおむつを捨てる場所がない」という育児中の方の悩み。
? 産業廃棄物(おから)の経済的・環境的の価値の損失、焼却処理される際のCO2排出問題。
? 使用済みおむつを処理する焼却処分場の負荷、CO2排出問題。
その課題の解決のために、今までに調べたこと・実行したことを教えてください。
調べたこと
し尿を含むおむつは燃えづらく処理コストも高い。助燃材を使うとCO2排出量も多くなる。
国交省ではオムツ分解処理装置等によりトイレにおむつを流す検討がある。
DYCLEはコンポスト処理によりおむつの循環システムを提供している。
実行したこと
4種類の副産物の中でおからが最も吸水剤に適していることを実験より確かめた。
実験より乾燥おから10 gで約60 mL吸水することがわかった。
このアイデアで提供する製品・サービスは何ですか?
私たちはトイレに流せるシートと布おむつを組み合わせた「流せるおむつ」を提供する。流せるシートには、自然由来である乾燥おからを吸水剤として使用し、水圧で細かくなる水解性不織布をベースの素材とする。これらはトイレに流せる条件を満たす。またシート型にすることで流す量を最小限にすることができる。
使用済みおむつを持ち帰る荷物のかさばりや廃棄の手間を省き、臭い等の衛生に対する社会的な心理負担を解消できる。
その製品・サービスは、例えば「誰が」「どこで」「どのように」提供するものですか?
全国チェーンのドラッグストアやベビー用品店で販売する。製品の使い方を知ってもらうために見本品も設置する。オンライン販売も視野に入れている。布おむつのみ、布おむつと流せるシート10枚のスターターセット、流せるシート30枚セットの3つの形態で販売する。また、流せるおむつが浸透してきたらモール等のトイレに併設される自動販売機で流せるシートを販売する。
提供する製品・サービスのユーザーはどんな人・どんな組織ですか?ユーザーの具体像(年齢・性別・家庭環境・趣味・仕事等)を考えて教えてください
主なユーザーは乳児を育てる家庭、特に20?30代の母親と父親である。日中は保育施設を利用し、休日は外出するアクティブな家庭が多いと想定している。育児の手間を減らしつつ、デザインや使いやすさにもこだわりたい層である。また、保育施設などの家庭以外の場所での利用も想定している。
提供する製品・サービスの一番のウリは何ですか?
おからは年3~6万tが産業廃棄物として発生し焼却処分される。この分を吸水剤として活用し、生産・加工コストを抑えSDGsの目標12に貢献できる。さらに生産過程でマイクロプラスチックが発生しない、環境へ流出しても汚染が無いことはSDGsの目標14に貢献できる。紙おむつは長時間吸水することが利点だが接触部の肌がかぶれることも懸念されている。流せるおむつは交換が楽なため頻繁な交換により清潔さを維持できる。
提供する製品やサービスについて、すでに存在する類似製品やサービスはありますか?
あるならばそれらと比較して優れている点(独自の価値)を教えてください。
コンポスト処理が可能な「DYCLE」というおむつの商品・サービスがある。100%天然素材を使ったおむつを使用後回収し堆肥化させ、資源として再利用する循環システムである。
「流せるおむつ」は天然素材を使用し環境への影響が出ない上に、トイレで流すことによってその場で簡単に処分できる利便性を重視している。持ち帰りの手間が不要なため、衛生的で子育ての負担にならない点が特徴である。
プロトタイプを第三者に見てもらい、出た意見を踏まえて実用性を高めるためにはどのような改善が必要か、もしくは既に改善した場合はどのように改善したのか、教えてください。
現在は節水トイレの普及が進み、詰まるのではないかという意見もある。しかし国交省では実際にトイレにおむつを流す検討があり、低コストで環境に負荷がないおむつを求めているそうだ。ここで私たちの流せるおむつは国交省の試みとマッチし、問題を解決できる。
私たちはおむつの専門知識や設備・資金がなく成形が追いついていない。おむつやおからの専門家と共同で流せるおむつの開発を進めれば現実的に使えるおむつが完成する。
この製品・サービスの市場動向や市場規模について今までに調べたことがあれば教えてください。また、その動向を踏まえ、ビジネスモデルを検討したことがあれば、その内容を教えてください。
日本のおむつ市場は拡大しており、今後もおむつの需要が増えると予想される。
特に少子高齢化により大人用おむつの消費量は年々増加している。排尿量が多く、薬の服用により尿の成分が変化してしまう大人用おむつのユーザーのニーズにも応用できれば、事業拡大も望める。
全体を振り返って、このアイデアを思いついた背景と課題解決に向けた思いを教えてください
外出時のおむつ交換にストレスを抱えていた方との対話をきっかけに、臭い管理や乳児の肌の清潔さを維持することなど様々な配慮が必要であることを色々な方に聞いた。そんな中、おむつをトイレに流す方法に、課題であった産業廃棄物が活用できるアイデアを思いついた。
流せるおむつは荷物の最小限化だけでなく利用者や周囲の人への臭い対策にもなる。私たちは日常生活におけるおむつ交換の悩みを無くし社会を快適にしていきたい。