プロトタイプ部門
服薬まもるくん
- チーム名
- まもテク
- 高専名
- 小山高専
このアイデアで解決したい課題は何ですか？
日本では高齢化により認知症患者が増加し、薬の飲み忘れや重複服薬による健康被害が深刻化している。既存の服薬支援機器は「薬を取り出した」ことしか確認できず、「実際に飲んだか」を判定できない。本アイデアはAIとセンサーで服薬動作を自動判別し、家族に通知することで、服薬ミスを防ぎ、在宅介護の負担を軽減することを目的とする。
その課題の解決のために、今までに調べたこと・実行したことを教えてください。
認知症高齢者の服薬トラブルに関する調査を行い、厚生労働省の統計や介護現場の意見から、飲み忘れや過剰服薬が多いことを確認した。既存の服薬支援機器（FUKU助・お薬飲んでね等）の機能を分析し、「薬を取っただけでは服薬確認にならない」課題を特定した。その上で、ジャイロセンサー付きコップとAI画像認識による服薬判定を試作し、データベース連携や通知アプリの開発を進めている。
このアイデアで提供する製品・サービスは何ですか？
認知症高齢者向けの服薬支援システム「服薬守くん」を提供する。ジャイロセンサー付きコップとカメラ搭載の薬提供デバイスが連携し、AIが薬を実際に飲んだかを自動判定する。服薬結果はスマートフォンアプリに送信され、家族が遠隔で確認できる。これにより、服薬ミスの防止と家族の安心を両立し、在宅介護を支援するサービスである。
その製品・サービスは、例えば「誰が」「どこで」「どのように」提供するものですか？
本製品は、在宅介護を行う家族や介護施設を対象に提供する。利用者の自宅に薬提供デバイスとジャイロセンサー付きコップを設置し、服薬データはクラウド上のサーバーで管理される。家族や介護職員はスマートフォンアプリを通じて服薬状況を確認できる。販売は医療・介護機器メーカーや自治体と連携し、在宅高齢者への導入支援やメンテナンスを行う形で展開する。
提供する製品・サービスのユーザーはどんな人・どんな組織ですか？ユーザーの具体像（年齢・性別・家庭環境・趣味・仕事等）を考えて教えてください
主なユーザーは、認知症を持つ高齢者（70?90歳前後）と、その家族である。高齢者は一人暮らしまたは夫婦のみの世帯が多く、服薬管理が難しい人を想定している。家族は40?60代で、仕事や子育てをしながら親の見守りを行う層が中心。日中は外出が多く、遠隔で服薬確認ができる仕組みを求めている。また、介護施設や地域包括支援センターなどの福祉組織も、入居者の服薬管理効率化のために利用する。
提供する製品・サービスの一番のウリは何ですか？
「服薬守くん」の最大の特徴は、“薬を取った”ではなく“実際に飲んだ”ことをAIが自動で判定できる点である。カメラによる動作認識とコップの傾きセンサーを組み合わせることで、服薬行動を高精度に検出し、家族へ自動通知する。これにより、従来の機器では実現できなかった“確実な服薬確認”と“家族の安心”を両立できる。
提供する製品やサービスについて、すでに存在する類似製品やサービスはありますか？
あるならばそれらと比較して優れている点（独自の価値）を教えてください。
既存の服薬支援機器は薬を「取り出した」ことしか確認できず、実際に「飲んだ」かを判定できない。本製品はカメラによるAI動作認識とコップの傾きセンサーを組み合わせ、服薬行動を自動判定する。薬自体を改変せず導入でき、家族にリアルタイム通知が可能な点が独自の強みである。
プロトタイプを第三者に見てもらい、出た意見を踏まえて実用性を高めるためにはどのような改善が必要か、もしくは既に改善した場合はどのように改善したのか、教えてください。
教員や家族に試作品を見せたところ、「高齢者が扱うには操作をより簡単にする必要がある」との意見を受けた。そのため、服薬時刻設定をスマホアプリではなく音声操作でも行えるように改良し、通知音も家族の声など柔らかい音に変更した。また、コップを紙コップ対応にすることで衛生面や交換のしやすさを改善し、より実用的な構成とした。
この製品・サービスの市場動向や市場規模について今までに調べたことがあれば教えてください。また、その動向を踏まえ、ビジネスモデルを検討したことがあれば、その内容を教えてください。
日本では高齢化が進み、認知症患者は2025年に約700万人に達すると推計されている。服薬支援を含む在宅介護市場は拡大傾向にあり、在宅ヘルスケア市場は2033年に約5兆円規模に成長する見込みである。ビジネスモデルは自治体や介護施設へのBtoB導入を軸に、月額利用料と機器販売で収益化を図る。
全体を振り返って、このアイデアを思いついた背景と課題解決に向けた思いを教えてください
祖母が認知症を患い、薬を飲んだかどうかを家族が毎回確認しなければならない状況を見たことが、このアイデアのきっかけとなった。飲み忘れや重複服薬は命に関わる問題であり、介護する家族の精神的負担も大きいと感じた。そこで、AIとIoT技術を活用して「薬を確実に飲んだことを見える化」できれば、家族の安心と高齢者の自立を両立できると考えた。技術の力で介護を支え、誰もが安心して暮らせる社会を実現したい。